ダイバーシティの「本当の意味」

みなさんもよくご存じの「ダイバーシティ」。
「多様性」とも訳され、個人やグループ、組織内で異なる性別、人種、文化、言語、年齢、性的指向、身体的特徴、宗教、経験、知識、技能など、さまざまな背景を持つ人々が共存する状態や、その状態を尊重し、積極的に取り入れる経営や社会のあり方を指します。
ダイバーシティの目的は「創出」ですが、近年少し捉え方が違っているような気がしますので、本日は改めて「ダイバーシティとは何ぞや」について触れたいと思います。

さて、繰り返しになりますが、ダイバーシティの目的は「創出」です。
同じような考え方や価値観の人々が集まっても、斬新なアイデアやビジネスを新たに生み出すことは困難です。だから、異なるバックグラウンドや考え方を持つ人々が互いに刺激し合うことで、新しい製品やサービス、ビジネスモデルの開発、業務プロセスの改善や効率化、社会問題の解決など、いわゆるイノベーションを生み出していこうとするものです。ダイバーシティを活用することで、企業や組織の業績や競争力を向上させることができるとされているのはそのためです。

だからこそ、それぞれの個性や特性を活かし尊重することが重要とされているのですが、「個性を活かし尊重すること」が、昨今では「他者に気を遣う必要がないこと」であったり「言いたいことを言っても、やりたいことをやっても許される(もしくは許さなければならない)こと」と同義に取られているように思えます。

ダイバーシティの推進において、個人が自分自身や他者に対して自由に考え、感じ、話すことができるいわゆる「心理的安全性」は非常に重要です。「心理的安全性」が確保されていなければ、異なる背景や意見を持つ人々が自由に意見交換し、アイデアを出し合うことは困難だからです。
ですが、この「心理的安全性」とは、例えば「こんなことを言ったら馬鹿にされるかもしれない」とか「こんなことをしたら周囲から浮いてしまうかもしれない」とか、そういった不安がない状態を指すのであって、決して「ありのままの自分を世の中・企業は受け入れるべきだから、何を言っても許される」といった意味ではなく、当然、そこには倫理観・道徳観、そして相互のコミュニケーションが必要になるのです。

もちろん、人権の尊重といった意味での個々人への配慮は当然必要です。ですが、ダイバーシティの推進は、決して個人の自分勝手なわがままを認めようとするものではありません。あくまで目的は「イノベーションの創出」であり、それをかなえるために、多様性を尊重し認め合うことが必要なのです。

では、実際に企業がダイバーシティを推進するためには何をすればいいのか、次回は「中小企業におけるダイバーシティの進め方」について、具体的に触れていきたいと思います。

記事を読んでいただき、ありがとうございました。

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