中小企業におけるダイバーシティの進め方

前回はダイバーシティの意味について触れました。今回は「中小企業におけるダイバーシティの進め方」についてです。
その前に、改めてダイバーシティ推進のメリット・デメリットを確認しましょう。

ダイバーシティ推進のメリット

1.視野の拡大
異なる背景や文化、経験を持った人材が集まることで、新しいアイデアや視点が出やすくなります。
それにより、新しい商品やサービスの開発、既存のビジネスモデルの改善などが可能になり、顧客満足度の向上にも繋がる可能性が高くなります。
2.グローバル展開への対応
国内消費が頭打ちになっている昨今、グローバル展開は避けて通れません。
異なる文化や言語を理解している人材がいることで、海外市場でのビジネス展開やビジネスパートナーシップの構築がスムーズに進むことが期待できます。
3.チームの強化
ダイバーシティがあるチームは、異なるバックグラウンドを持ったメンバーが集まるため、個性やスキルを生かし合うことができます。
それにより、チームの協力性やクリエイティビティが高まり、チーム全体のパフォーマンスの向上が期待できます。

上記に挙げたように、ダイバーシティを推進するメリットは大きいですが、当然デメリットもあります。

ダイバーシティのデメリット

1.コストの問題
ダイバーシティを導入するためには、多くの場合、人事や研修、労務の部署などの体制強化が必要となり、当然それにかかる費用や労力が発生します。
人的・資金的に余裕がある大企業ならいざ知らず、中小企業にとっては非常に厳しいものがあります。
2.コミュニケーションの停滞
言語や文化が違えば、当然意志疎通は難しくなります。日本人特有の、もしくはその会社特有のいわゆる「阿吽の呼吸」が使えなくなるわけですから、何でも一から説明する必要が生じてきます。
また、異なる文化や価値観を持った人々が同じ職場で働くことによって、相互理解が不足し、時には不愉快な思いをすることもあるかもしれません。

とまあデメリットもかなり大きいわけですが、昨今は企業においてダイバーシティ推進は必須であり、逆にダイバーシティを掲げていない企業に対して世間の目は非常に厳しいものとなっています。なので、ダイバーシティ推進のメリット・デメリットうんぬんよりも、推進しないデメリットのほうがはるかに大きいと思われます。
とはいうものの、掲げている割にはダイバーシティが進んでおらず、そのジレンマに揺れ動きながら方向性を模索しているのが現状です。というのも、日本でダイバーシティがなかなか進まないのにはそれなりの理由があるからです。

日本でダイバーシティが進まない理由として、下記のことが挙げられます。

・協調性や集団主義が日本では重んじられるため、多様性を受け入れる文化が根付きにくい。
・日本の教育制度は学力評価が重視されているため、個性や多様性を育む教育の機会が少ない。
・上下関係や年功序列が強い企業も多々あり、異なる立場の人々が意見を出し合うことが難しい。
・日本の労働文化は“日本人・男性・新卒”を基準としているため、働き方や職場環境においてワークライフバランスが悪く、女性や外国人の雇用やキャリアアップが難しい。
・ダイバーシティを推進するためには多様な人材を確保する必要があるが、日本には外国人材や留学生を受け入れる制度が整備されていないため人材の確保が難しい。

よって、日本でダイバーシティを推進するにはまずは社会全体での意識改革が必要になるわけですが、それを中小企業が担わなければならないというのはかなり荷が重いですね。
なので、取り組むにあたってそれほど労力がかからない、具体的なダイバーシティ推進策を考えてみました。

1.採用の多様性を高める
新卒にこだわるのではなく、国籍や性別、年齢、障害の有無などを考慮し、多様な人材を採用することで多様性を高めることができます。今後難しくなることが予想される労働力の確保という意味でも必要です。
2.フレックス制度や半休・時間休の導入
フレックス制度や半休・時間休を導入することにより、休みを取りやすくすると同時に、働く人々の多様なニーズに応えることができます。
3.インターンシップの活用
インターンシップを実施している企業も多いと思いますが、それはあくまで選考の前段階もしくはミスマッチを防ぐ場としての位置付けです。そうではなく、「多様なバックグラウンドを持つ人材と接する場」としてインターンシップを活用するのも非常に有益です。
4.多様性の理解を深める研修の実施
社員向けに多様性に関する研修を実施することで、多様性についての理解を深めることができます。
特に、最初は一般社員ではなく経営層・管理職向けに行うことをお勧めします。多様性の推進には、上層部のリーダーシップが欠かせません。リーダーが多様性を理解することで、企業や団体全体の文化が変わっていくことが期待できます。

以上、「中小企業におけるダイバーシティの進め方」についてまとめました。
ダイバーシティは少し面倒くさいイメージがあると思いますが、企業において「進化」は不可欠ですし、その手段の一つとしてダイバーシティは非常に有効です。
ぜひ、みなさんの会社でも今一度ダイバーシティについて改めて検討してみて下さい。

読んでいただき、ありがとうございました。

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