パワハラのいろいろな“形”

さて、昨今は「パワーハラスメント」に対して非常に厳しい目が向けられるようになりました。
少しずつではありますが、働く立場としては良い世の中になってきているような気がします。

一般的には、パワハラをする人間は“自分がパワハラを行っている自覚がない”パターンが多いと聞きますが、私が見た限りでは“自分のやっていることがパワハラに当たるかもしれないと薄々感づいてはいるけど「相手が悪いのだからしょうがない」と自分を正当化している人”も多いのではと思います。
ちなみに私自身が体験したパワハラは、かなり王道といえるもの(恫喝や罵倒など)が多いのですが、その中でも「ああ、こういうのもパワハラといえるんだな」と少し意外に思った経験がありますので、本日はその話をしたいと思います。

会社員時代のことですが、その人は私に仕事をレクチャーする立場の人でした(なお、彼女は私の上司というわけではなく、あくまで先輩という立場でした)。
彼女は真面目で几帳面。雰囲気も非常に優しそうで、親しみやすい人でした。そう、最初は。

話は変わりますが、ついうっかり忘れちゃうことってあるじゃないですか。「そういえばこれってどこに提出するんだっけ」とか「どこのファイルに保存してたっけ」とか。
彼女はそれが許せない人でした。自分と同じくらいの慎重さや几帳面さを、他人にも要求する人だったんです。
彼女についうっかり「この書類の書き方なんですけど、これで良かったでしたっけ」なんて聞こうもんならもう大変。
「この前それ伝えたよね?なんで覚えてないの?メモは?取ってないの?取ってるのになんで分からないの?」
怒鳴られるわけでもない。罵倒されるわけでもない。ただ、「なんで?なんで?なんで?」と詰められる。しかも毎回。

そういう対応をされ続けるとどうなるか。

まず、相手のことが嫌いになります。もちろん私も最初は「ちゃんと覚えていない自分がいけないんだ。もっとしっかりしないと」と思っていたんですが、本当に些細なことでも毎回詰められると、「なんなの、この人」「ちょっと頭おかしいんじゃないの」「マジこいつうぜぇ」となってきます。

次に、相談や質問、ミスの報告をしなくなります。だって詰められるの分かってますから。
「あれどうやるんだっけなー。でも質問するとまた詰められるから適当にやっとこう」「この件は彼女の耳に入れといたほうがいいよなー。でもどうせ詰められるからほうっておこう」こんな感じです。ちなみに本当に重要なことに関しては彼女をすっ飛ばしてもっと上の人に報告していました。

結局、状況をありのままに上司に報告したところ、以前別の人からも彼女についてそういった訴えがあったらしく、私は彼女と関わらなくてもいいことになりました。

たぶん、私がこの話を他人から聞いたら「仕事なんだからちゃんとしないとダメじゃん。確かにいちいち詰められるのはアレだけど、上司じゃないんだから聞き流せばいいじゃん」って反応になると思います。
ただ、実際に体験するとこれは本当にしんどい。ハラスメントは体験してみないとその辛さは分からないなんて言いますが、まさにそれ。最後の方は彼女の顔を見るのも嫌になりましたもん。

同時に、「原因追及だけでも、こんなにも精神的負担がかかるものなんだ」とちょっと意外に思いました。実際、怒鳴られたりしたわけでもないですし、いじめられたわけでもない。ただ若干強めに詰められたってだけだったんで。
彼女としては、単に「なんで覚えてないの?」と心の底から不思議に思ったから「なんで?」と聞いただけかもしれないんですけどね。

ちなみに上司が彼女に問いただしたところ、本人としては「少し強い口調で言ってしまっていたのは悪いと思っていた」らしいです。いやいや、口調の問題じゃないだろ。

まあパワーハラスメントにもいろいろな形があるな、というそんな体験談でした。
読んでいただき、ありがとうございました。

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